戦争と海外旅行保険

この記事を書いている2022年4月22日現在、ロシアによるウクライナ侵攻は更に激しさを増しています。

その様子はリアルタイムで世界に配信され、私達は「戦争」というものを非常に身近のものとして目の当たりにしています。

また、多くの識者たちが、この戦争が核の使用や、第三次世界対戦の引き金になりかねないと、警鐘をならしています。

Adviser

ロシアがウクライナに侵攻して以降、お客様から海外旅行保険の証券にも記載されている「戦争危険免責一部修正」「制裁等に関する特約」について、これはどういう意味かという質問が増えました。

それだけ多くの方が、現在起こっている戦争や、ロシアに対する制裁などについて、身近な問題として感じつつあるということだと思います。

今回は、海外旅行保険の大きな特徴の一つでもある、「戦争危険免責」に関連するお話をさせていただきます。

海外旅行保険は、戦争や内乱などによる身体の傷害は保険の対象外

海外旅行保険は、通常、戦争や内乱等による死亡・ケガ等は保険金支払いの対象にはなりません

保険金を支払わない主な場合より

以下に該当する事由によって生じた傷害に対しては、保険金を支払いません。

『戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変』

現在戦争中のウクライナはもちろん、その他アフガニスタンやミャンマーなどは「政権奪取」の状態という認定になっていますので注意が必要です。

そのような状態として認定されている国・地域の場合、そこに滞在している間は一切補償されない、というのではありません。

戦争や政権奪取などに該当する事由によって生じた傷害に対してだけ、保険金は払わない、ということです。

Adviser

例えば、ミャンマーにも弊社のお客様も未だ大勢いらっしゃいますが、通常転んでケガをした、とか、お腹が痛くなった、などは全く問題無く保険が使えます。

一方、反政府デモに近づいて巻き込まれてケガをした、とか、武力による鎮圧行為の流れ弾に当たって亡くなった、などは対象にはならない、ということなんです。

「戦争危険等免責に関する一部修正特約」はテロ行為については特別に対象とする規定

アメリカで起きた9.11は、今でも多くの人々の心に傷として残っていると思いますが、その後も世界中では数多くのテロ事件が発生しています。

本来海外旅行保険では、テロによるケガ・死亡についても上述の規定から保険の対象ではありませんでした。

しかし、規定の一部を修正して以下のようにしています。

戦争危険等免責に関する一部修正特約

この特約により、次のとおり読み替えて適用します。

『戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変に該当するかどうかにかかわらず、テロ行為(政治的、社会的、宗教的もしく思想的な主義もしくは主張を有する団体もしくは個人またはこれと連帯するものがその主義または主張に関して行う暴力的行動をいいます。)は対象とします。』

Adviser

このように、証券に何気なく記載されている「戦争危険等免責に関する一部修正特約」というのは、とても重要な内容なんです。

過去の事例より、戦争とみなされたのかテロとみなされたのかの具体例

過去、海外で起きた様々な事例が、保険会社によって『戦争危険』と認定されたのかどうか、具体的な事例でお伝えします。

過去の解釈事例

1990年8月 湾岸戦争 →戦争危険と認定し、保険対象外

・2001年9月 米国同時多発テロ事件 →戦争危険に該当せず、保険適用

2003年3月 イラク戦争 →戦争危険と認定し、保険対象外

・2010年4月 バンコク反政府デモ →戦争危険に該当せず、保険適用

2010年11月 北朝鮮における韓国砲撃 →戦争危険と認定し、保険対象外

・2011年8月 ロンドンに暴動 →戦争危険に該当せず、保険適用

・2012年9月 中国における抗議デモ →戦争危険に該当せず、保険適用

・2013年11月 バンコク反政府デモ →戦争危険に該当せず、保険適用

・2014年5月 タイにおける戒厳令発出 →戦争危険に該当せず、保険適用

・2015年11月 パリ同時テロ →戦争危険に該当せず、保険適用

2016年7月 トルコ軍の一部勢力による武装反乱 →戦争危険と認定し、保険対象外

2021年2月 ミャンマー国軍の政権奪取 →戦争危険と認定し、保険対象外

Adviser

上記の戦争危険と認定し保険対象外となっている事例では、それらによるケガなどは保険の対象にはなりません。

もしそのような状況でも対象になるようにするには、別途割増保険料が必要となります。

割増率は、およそ通常の保険料の3倍くらいと思ってください。また、よほどの理由が無い限り、危険な事実が明らかになって以降に引受をしてくれる保険会社はありません。

制裁等に関する特約

現在日本を含めた西側諸国では、ロシアに対して厳しい金融制裁を課しています。

また、ロシアに限らず既にイランや北朝鮮などには制裁が以前より課されています。

海外旅行保険の証券には、『制裁等に関する特約』という表示もありますので、気になる方もいらっしゃることでしょう。

制裁等に関する特約とは

この保険契約において保険金を支払うべき損害等が発生した場合において、保険金の支払いを行うことにより当会社が次の制裁、禁止、規制または制限を受けるおそれがある場合は、その損害等に対しては、いかなる場合においても、当会社は、保険金を支払いません。

①国際連合の決議に基づく制裁、禁止、規制または制限

②欧州連合、日本国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国またはアメリカ合衆国の貿易または経済に関する制裁、禁止、規制または制限

③①または②以外の制裁、禁止、規制または制限

Adviser

海外旅行保険で受け取る保険金が上記の制裁などに抵触する恐れは、一般の皆さんの利用においてはまず無いと思います。

今回は少しマニアックなお話ではありましたが、今後は戦争危険について従来よりも身近な話になっていくかもしれません。

いつ、突然あなたの居る地域がそうなるかもしれない、そんな危機意識を喚起する意味でも重要かと考えお伝えしました。

世界が平和で安全であることを、心より願うばかりです。

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このブログは、海外旅行保険についての概要・特徴を一般的に案内したものであり、保険会社によって適応できないこともございます。つきましては、実際のご契約・ご利用の場合には、その該当保険会社のパンフレット・重要事項説明書・約款等で詳細をご確認いただくようお願いします。

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